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春の恵みを冬まで保存する「塩蔵」の技術

こんにちは。
小谷(おたり)村地域おこし協力隊の石田です。

先日2月下旬に東京に行った時、満開近い梅の木にウグイスがとまっているのを見て、「ここは本当に同じ日本か」と思ってしまいました。
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小谷はまだまだ長い冬の途中です。
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収穫できるものがなにもない冬は春から秋までに蓄えた食材を食べつないで過ごします。

「スーパー行けば何でも買えるじゃない」
と、思いますよね。

そんな時代になった今でも、ここでは自分で1年食べる分は自分で調達する、という暮らし方が平然とこなされているから頭があがりません。

今日のテーマは「塩蔵(えんぞう)」です。
「冷蔵」ではなく、「塩蔵」。
その名のとおり「塩をもちいて貯蔵する」方法。

最近は近所の寄り合いがあると、みんなこぞってワラビや山ウドの煮物を持ち寄ります。
昨年の春に採った山菜を塩漬けにして、このくらいの野菜が底尽きる時期になると「塩抜き」して調理して食べます。
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「塩漬け」と聞くと「しょっぱそう!」と思いますよね。
それが、違うんです。
漬物とは違い、調理前に「塩抜き」するのがポイント。

例えばこれが「塩抜き前」と「塩抜き後」のワラビ。
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塩抜き後のワラビ、ぷりんっとしていますよね。
採りたてさながら、とは言い過ぎですがあざやかな色とハリが戻っています。

この「塩抜き」したワラビを少しつまみ食いすると…
ほのかな塩味を感じるくらいで、とてもおいしく食べられます。

山菜を上手に「塩抜き」する教えがあります。

それは、
「銅鍋で煮るべし」

まずはじめに、煮ます。
山菜が浸かるくらいの水を入れ、水から火をつけて煮立つまで10分ほど。
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なぜ銅鍋かというと…

山菜の色を綺麗な緑色にする作用があるからです!
まさに先人の知恵。化学的に説明はできますが、本当に魔法のように色が変わります。
ちなみに、銅鍋がない場合は、鍋に銅板や10円玉を入れてもよいそう。

それにしてもこの銅鍋、かっこいいなあ…
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ぜひ手に入れたいアイテムですね。


煮終わった山菜は、塩漬けの加減にもよりますが、2〜3回水を変えながら半日ほど水につけておけば塩が抜けるそうです。
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この日は「塩抜き」講習の後、みんなで山菜を使った昼食をいただきました。
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山菜の煮物
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山菜きのこそば
(きのこは秋に採れたものを冷凍保存したものです!)
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山菜ピザ
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ほんとうに幸せな時間でした…


もうあと2ヶ月ほどで春。
山菜を採りに山へ出かけ、春食べきれない分はまた次の冬のために塩蔵する時期に、今度は「塩漬け」について講習がひらかれるそうです。
またおたり日和でご報告しますね。